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オーダー紳士服の工房作り、技術の継承、製造工程のシステム化等を名目に、株式会社松崎(大阪市中央区、松﨑浩一社長)が平成25年度中小企業小規模事業者ものづくり・商業・サービス革新事業で1000万円の補助金交付決定額が採択された。テーラーで1000万円の事業補助は非常に稀なケース。業界の活性化を目指し、後進、若手技術者育成の育成など、これからの取り組みに期待がかかる。

今回の事業計画は『オーダー紳士服製造工程システム化による販路拡販並びに技術者の育成と伝承』。具体的には、高級オーダー紳士服の製造拠点を目指し、同社7階スペースにある工房を拡張、再構築する。さらに、工房のスタートとして、7月からマスターパターンのCAD化に取り組む。同時に、時代のニーズに合った新しいパターンの製作も進め、9月の完成が目標。その後、最新鋭のミシン、縫製ラインを整備し、サンプル作りに取り組み、来年4月までにこれらの作業を完成させるとしている。テーラーの技術は技術者によってそれぞれ独自のものを持っていることから、CADを実現しても、裁断、縫製までをシステム化することは難しいとされている。松崎ではこの問題をクリアーし、新時代に向けた高級オーダーのビジネス展開まで視野に入れた事業を推進するにあたり、「あくまでチャレンジャーの気持ちです。日本のものづくりの役割を担わせていただけたら」と松﨑社長は語る。
■紳士服の松﨑は、100年の歴史(1912年創業)の中で、最高の技術者として活躍した今泉末氏(故人)の製図、裁断技法を継承したいとしている。今泉氏は技術だけでなく、「テイラー」(昭和11年発刊)の月刊誌を発行にも尽力し、常に業界への貢献、発展を考えていたと伝えられる。その製図は「American gentleman and Sartorial Art  Journal」に掲載され、アメリカの国会図書館に所蔵されている。「テーラーの事業を継続することが松﨑の使命と考えている。今できることを積み上げることで、業界発展への布石となるようがんばりたい」と言う。
■事業の課題としては、高度な熟練の技の普遍化と作業工程の簡素化を掲げる。顧客のニーズをフルに取り入れた高価格帯商品の製造にあたって、型紙の製作にCADを導入し、最新鋭のミシンを採用することで裁断士と縫製士の長所を生かしながら、作業の効率化と高品質化の実現を目指す。
【具体的取り組み】
■顧客の体型やニーズを把握してフィッテイング(採寸)を行った後の工程であり、裁断士のノウハウの要である仮縫い用の型紙作成工程をシステム化する。
■大量生産の縫製工場で行われている分業と、職人やオーダー工場で行われている丸縫いを融合させ、高品質の縫製加工を効率よくできる縫製工程を研究開発する。
■インターネットを利用することで、高級オーダーが受注できるシステムを研究・開発する。

松﨑社長は「これをチャンスに、昔のパターンに固執することなく、新しいファッションを企画・提案・商品化できるテーラーを模索したい。CADの導入では、去年から岡本先生(オカモトデザインシステム、大阪)にもアドバイスをいただいている。業界に明るい話題、元気なテーラーを発信できるようがんばりたい」と語る。(ビスポークニュースVol67_3~4Pに掲載

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