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 ■経済戦争に奔走した平成
バブル景気に沸いた平成が終わった。“1億総不動産屋”という言葉を思い出す人もいるだろう。土地を買えば上がり、転売して利ザヤを稼ぐ、荒っぽい商法がバブル経済の主役でもあった。銀行は土地が担保であれば、融資を惜しまなかった。株価は上昇し、一般投資家を巻き込み、マネーゲームに興じた。地上げ屋という職業が幅をきかせ、数千万円を手にして歓楽街、高級クラブを闊歩する姿もあった。ディスコ「ジュリアナ東京」が大流行し、高級スーツが売れた。テーラー業界は大いに潤った。スーツ30万円の時代と言われ、オーダーメードというだけで、おもしろいように売れた。新規参入で1億円テーラーも珍しくなかった時代。百貨店のオーダーサロンのピーク時、日本橋三越(20億円)、東京高島屋(15億円)、西武池袋(8億円)、松屋銀座(6億円)、大阪高島屋(7億円)、大丸心斎橋(7億円)、阪急梅田(5億円)など、売上は天井を極めた。1千万円のスーツ地が登場し、スキャバルフェアで1億円を受注したテーラーが話題になった。
■バブル崩壊からの激変
バブル経済が崩壊へと向かい、スーツ業界では価格破壊が起こる。銀座で「洋服のあおやま」が1万円スーツを発売し、行列ができた。スーツを買った外国人が質屋に持ち込み、3万円、4万円を借り入れ、珍事件として話題になった。落合正彦著(故人)「クラシコ礼賛」がヒットし、「イタリア・クラシコ」ブームが到来。これを切り口に仕掛けたのがメンズEX。イタリア・サルト(テーラー)の仕立て、デザイン、シルエットが消費者に受け、大きな波を起こした。レオン、メンズノンノン、GQ、メンズクラブなど、男のファッション誌が続々と出版され、男のおしゃれが一大ブームとなった。工場仕立てのオーダーにスタイル、シルエット、着こなしを提案し、10万円以下で作れるオーダースーツで一躍脚光を浴びたのが麻布テーラー。メルボ紳士服が復活をかけて取り組んだ企画が当たった。たちまち業界に旋風を巻き起こし、若い世代を取り込む。やがて、既製服客をオーダーに取り込むとして「グローバルスタイル」が登場するや、大躍進し、アパレル業界を巻き込んだオーダーブームを起こした。
平成は海外ブランドの全盛期でもあった。G・アルマーニ、ベルサーチ、ジャンフランコ・フェレなど、スーパーブランドが飛ぶように売れた。テーラー業界では、海外のブランド服地だけで60余りあった。ミラ・ショーン、ダンヒル、トラサルディ、バークレー、STデュポン、バレンシアガ、イエーガー、イヴサンローラン、スキャバル、ドーメルなど、商社、服地卸商は大いに儲けた。しかし、平成中期から後期にかけて、ストラスブルゴ、ビームス、ユナイテッドアローズなど、イタリアのセレクトショップが台頭し、ファッション=イタリアの時代に突入した。タイトなシルエット、軽くて、しなやかな洋服が市民権を獲得した。
■令和には心豊かな日本を
平成は戦争こそなかったが、経済の激動、未曾有の自然災害(大規模地震など)を経験した。情報システム、AIの進化などで、変化に追われ、変化を追いかけ、激しい社会の移り変わりに、ライフスタイルが翻弄された。新元号の令和は、命名の出どころが万葉集。日本の文化、心の原点でもある。令和を迎え、多くの人の心を豊かにする日本のビジネスが目覚めることに期待したい。

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