イタリアを代表するナポリの高級ネクタイ「マリネッラ」は今日、世界中で愛用される最高級品として知られている。今回「ビスポークニュース」の取材をこころよく受けてもらえ、これまでオープンにしていなかった工房の写真撮影の許可も得た。3代目にあたるマウリツィオ・マリネッラ氏に歴史、ものづくりの哲学、これからの展開などについて聞いた。(取材=Junko Mori)
――まず、マリネッラの歴史について
20世紀の初頭、EUGENIO MARINELLA(エウジェオ マリネッラ)により創設された。イタリア屈指のナポリの素晴らしい海岸通りに位置する、ヴィットリオ広場に店舗を開業した。第一次世界大戦勃発の前日のことであった。店は20㎡の広さであり、現在も同じである。その後、2つの工房が作られ、大きな工房はシャツの製造、小さな方はネクタイの工房となっている。
――創業者・エウジェオ氏とは
エウジェオは創業まもなく、ロンドンへ視察に出かけた。それに伴い、店には洗練されたイギリス本場の商品が並ぶことになった。ナポリの一角にある小さなロンドンのようであった。当時は、イギリスのスタイルが流行であり、「マリネッラ」はナポリでロンドンからの特別な品物に出会える唯一の店となった。当初はネクタイの店ではなく、シャツを主流としていた。(詳細はVol.94_95購読者限定)