株式会社三陽商会は5月19日、バーバリーのライセンス契約について、ライセンサーである英国バーバリー・リミテッドならびにバーバリー・ジャパン株式会社(以下総称して「バーバリーグループ」)および共同ライセンシーである三井物産株式会社と協議の結果、バーバリーロンドン(ライセンス)の婦人服ならびに紳士服は2015年春夏シーズンで事業を終了すると発表した。また、子供服(現在同社がグローバルコレクションを販売)は2015年春夏シーズン終了後に事業をバーバリーグループへ移管する。
さらに、ブルーレーベルならびにブラックレーベル・ブランドについて、新たなライセンス契約を締結した。それによると、現在のバーバリー・ブルーレーベルならびにバーバリー・ブラックレーベル・ブランドは2015年秋冬シーズンより「ブルーレーベル」ならびに「ブラックレーベル」を主たるブランド名とし、バーバリーの名称は使わない。これら2つのラインは、現在のブランドコンセプトを継承し、同社がこれまで築き上げてきた資産を最大限に生かしながら、さらなるブランド価値の向上と事業拡大を目指すとしている。商品の企画・製造・マーケティング・販売はこれまでと同じ体制の下、引き続き行う。
ブランドビジネスで最も成功した「バーバリー」は、1965年のバーバリーコートの日本における輸入販売を契機に、1970年には日本国内におけるバーバリー・ブランドのアパレル商品の企画・製造・販売についてバーバリーグループよりライセンス供与を受け、また1996年にバーバリー・ブルーレーベル、1998年にはバーバリー・ブラックレーベルを立ち上げるなど、約半世紀にわたる積極的な事業拡大を通して、日本市場におけるバーバリー・ブランドの価値および認知度の飛躍的向上させた。ネット上では三陽商会倒産などの書き込みが見られるが、現実、同社にとっての屋台骨であっただけに、社運を左右するほどのニュースである。
日本の洋服業界は戦後、欧米のブランド崇拝へと導かれ、ブランドを身にまとうことで、自らのファッションを謳歌してきた。テーラー業界でも、未だにゼニアを訴えなければ売れない、ゼニア依存症のテーラーが存在する。つまり、ゼニアが手に入らなければ廃業するしかないテーラーである。テーラーとしての技術を持たないことに加え、仕立てが他店と同じ工場であるから、価格とブランドで売り込むしか術がないのである。今回のバーバリーのニュースは、これからの日本の洋服業界にさまざまな課題を投げかけたと言えるだろう。