梳毛織物の2014年1-4月の輸入は、中国119万905㎡(前年を期比83.0%)、イタリア103万5656㎡(同101.9%)、英国33万5622㎡(同144.9%)となった。英国が約45%の大幅伸びを示し、イタリアはほぼ横ばいで推移した。中国はトップをキープするも、-17%と大幅ダウンとなった。金額(FOB価格)でみると、イタリアが17億4882万8千円(同113.1%)、中国7億2740万9千円(同89.6%)、英国6億3679万4千円(同160.3%)。ここでも英国が60%増で推移していることがデータにみられた。 ちなみに、1㎡あたりの価格を分析すると、中国611円(前年同期比108.0%)、イタリア1689円(同111.9%)、英国1897円(同110.6%)。スーツ要尺3.3mとし、1.5m幅×3.3=4.95㎡で計算すれば、1着あたりの梳毛の輸入価格は中国3024円、イタリア8360円、英国9390円になる。 梳毛織物にみる限り、イタリア、英国物は金額で1割以上の上昇。特に、英国ポンド高の影響で高騰しているといえるだろう。輸入エージェントは「とにかく英国は高い。このまま推移すれば、輸入が大幅に減っていくことは否定できない」と説明する。また、イタリアについては、「ユーロ高もあるが、市場に合った商品があるので、現状、悲観はしていないものの、ロロ・ピアーナがルイヴィトングループに昨年買収されてから、安価での輸出販売を抑制している。極論すれば、高値で買うテーラーなどを対象にし、ブランドイメージを上げる戦略を打ち出している」とテキスタイル事情を語っている。 既製スーツはアセアン諸国での生産がほとんどで、メーカー各社はコスト削減に凌ぎを削っている。国内の高級ブランドは、生地の仕入れが上昇し、4月からの消費増税が加わり、この秋冬物では小売価格はさらにアップするだろう。総理府の小売価格調査においても、メンズスーツの春夏物中級品は初の9万円台に投入している。