日本百貨店協会(東京)が12月の全国百貨店売上高を発表したが、昨年のアベノミクス効果も含め、紳士服関連は8月から好調に推移している(グラフ参照)。7月は前年を下回っていたが、8月には急激な伸びがみられ、東京では+12.3%となり、大阪は+7.7%、名古屋+8.8%となった。これは9月に入っても維持され、3都市の12月までの5か月は前年をクリアーする堅調を示した。円安、株高により輸出関連大手企業を中心に業績の回復がみられ、株式投資家にも恩恵がもたらされた。景気回復機運が消費に明るい材料を提供したことで、高額需要が動いた。実際、11月、12月のオーダー業界は「大いに潤った」「ビキューナのコートを仕立てている」などの声もあり、確かにアベノミク効果が現実のものとなった。しかし、「実際のない景気回復」とも言われ、中小企業はじめ、一般消費者への波及力は弱いとする見方が大勢。今年は、法人税率の見直しにより、消費税増税後の景気を後押しする政策が用意されているようだが、決して楽観視できない。ファストファッションが好調とされる現状から判断すれば、消費者にとって価値あるモノ、どうしても欲しいと思うモノへの購買意欲を掻き立てる企画、販促が必要になるだろう。
東京も大阪のオーバーストアだとされる中、大阪では天王寺・阿倍野の日本一の売り場面積となる「あべのハルカス」が3月にオープンする。その一方、大阪駅の三越伊勢丹が売り場を6割削減し、残りの4割を専門店の集積で乗り切る改革案を発表した。百貨店は、のれん、信用の上に商品力、サービスで成り立っている。消費者の心をつかむには、東京のような大都市とは違った、独自の路線が求められる。戦略で明暗を分ける2014年になりそうだ。